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2025年07月19日
米国留学中の矢野光剛先生の論文がNatureに掲載されました。
大分大学産科婦人科学講座所属であり、MD Anderson Cancer CenterのDepartment of Experimental Therapeutics、Rugang Zhang教授の研究室に留学中の矢野光剛先生の研究がNatureに掲載されました。以下は、矢野先生からのコメントです。
平素より大変お世話になっております。留学中に携わったプロジェクトPPP2R1A mutations portend improved survival after cancer immunotherapyがトップジャーナルであるNatureに掲載されました(https://www.nature.com/articles/s41586-025-09203-8)。私はco-first author (共同筆頭著者)として貢献しています。
PPP2R1A遺伝子変異は卵巣明細胞癌や子宮体部漿液性癌で比較的多くみられます。この論文は、PPP2R1A変異を伴うがんは免疫チェックポイント阻害剤に良好な反応を示すことを発見しました。MD Anderson Cancer Centerで行った卵巣明細胞癌に対する免疫チェックポイント阻害剤の臨床試験をベースとしています。得られた検体の網羅的解析、そして私が貢献したのは細胞実験in vitroと動物実験in vivoでの検証であり、主にはFigure 4になります。
免疫チェックポイント阻害薬の研究においては実験方法に工夫が必要です。細胞実験においてはCAR-T細胞を使用することで疑似的な免疫環境を作っています。動物実験においては、患者腫瘍移植モデルPatient-derived xenograft(PDX)を使用する際にはヒト免疫系を移植した特殊なマウス(humanized mouse)を用いて、また免疫正常マウスに対してはCRISPRでPPP2R1A遺伝子を野生型・変異型に編集したマウス卵巣癌細胞を用いて実験を行いました。
留学中の仕事が形となって嬉しい気持ちでいっぱいです。これに満足せず残りの時間も研究に打ち込んで医学の進歩に貢献できればと思います。今後ともご指導をよろしくお願い致します。