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2024年08月30日
医学部生・中島先生の論文がHuman Pathology誌に掲載されました
大分大学産科婦人科学講座では、医学部生の研究教育にも力を入れております。本学医学部医学科4年次の中島隼矢先生は、約2年前から当講座で研究を行っています。このたび子宮体癌とHER2発現に関する論文が、診断病理学分野で有名な雑誌であるHuman Pathology誌に掲載されました(Therapeutic indications for antibody-drug conjugates estimated from HER2 and p53 expressions in endometrial carcinoma – PubMed (nih.gov))。中島先生は本論文に最も貢献した研究者として筆頭著者となっています。
論文のタイトルはTherapeutic indications for antibody-drug conjugates estimated from HER2 and p53 expressions in endometrial carcinoma(和訳:子宮体癌におけるHER2とp53発現から推定される抗体薬物複合体の治療適応)です。
子宮体癌は婦人科がんの中で最も頻度が高く、特に高悪性度の組織型、進行癌、再発癌に対する有効な治療は限られています。抗HER2薬は乳癌や胃癌などの治療で使用される薬剤ですが、子宮体癌に対して本邦で保険適用はされていません。近年、抗がん剤と抗体薬を結合させて選択的にがんに薬剤を届けることのできる抗体薬物複合体が注目されています。有効性がHER2高発現に限り示されていた従来の薬剤とは異なり、抗体薬物複合体はHER2低発現腫瘍に対しても有効性が示唆されています。中島先生はHER2高発現集団を調べた研究は多くあるものの、低発現集団の研究データが乏しいことに気がつき、HER2低発現の子宮体癌はどのような特徴があるのかを本論文で発表しました。HER2低発現の子宮体癌は想定よりも高頻度であったこと、またp53との共発現集団で特に予後と相関していることが示されました。
本研究が子宮体癌の新しい治療戦略の入り口となること、また中島先生の更なる活躍に期待しております。本研究にご尽力を下さった方々に改めて感謝を申し上げます。